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12/2(水)【広有研・簡易土壌検査@神石高原町】ご案内!
今年も広島県有機農業研究会で、簡易土壌検査を行います!
以下、ご案内です。
お申込み状況によっては、遠方からお越しの方などは午後からの開始も可能です。
お申込みお問い合わせは、当農園(森)もしくは坂本さんまでお願いいたします。
【土壌検査講習会】
■ 日時 12月2日(水)午前9時~
■ 場所 神石高原町三和公民館
(神石高原町小畠 2025
■ 費用~ 1 検体、1 000円( 3 検体まで)
※非会員は 1 検体2 300円
■申 込 090-3630-3592( 坂本)
下記、ご参考までに昨年の様子・報告文です↓
12月4日(水)に、くるみふれあいプラザ(神石高原町)にて、簡易土壌分析を行いました。参加者は、総勢10名。土壌成分のうち、NH4-N,NO3-N,H2PO4,K2O,Ca0,MgO,Fe,Mn,pHについて、神石高原町有機農業推進協議会さんのDr.ソイルデジタル検定器をお借りして、検査を行いました(写真1)。土壌サンプル数は、26。一度に検定器にかけられるサンプル数は10本のため、皆で協力しながら3回に分けて分析作業を進めました。時間が限られている方(早く帰宅しなければならない方)や遠方から参加の方などのサンプルから優先して分析を行なっていきました(写真2,3)。
分析を終えてからは、得られた数値から土壌の状況を推測し、次の作付けに向けてどの様に土壌を準備していくのか、皆に相談する事もでき、今後の参考にする事ができました。さらに今回は、神石高原町有機農業推進協議会代表の平元さんより、分析結果に対するコメントも各自いただく事ができました。土壌の状況、そして今後の栽培方法について、様々な視点で考える事ができる貴重な機会にもなっています。
以下、全体の傾向と主に野菜類の目安の一例について、私なりにまとめた内容です。
○アンモニア態窒素、硝酸態窒素
アンモニア態窒素は、ほぼ全てのサンプルで、適正の目安である0.8~9(mg/100g乾土)に数値がおさまっていました。硝酸態窒素も同様に、適正の目安である0.8~15(mg/100g乾土)に数値がおさまっていました。それらの数値は、全体的に少ない傾向にあり、有機農業で目的に応じた肥培管理がしやすい土壌と考えられました。
○pH
数値は、測定サンプルの約6割で、適正の目安であるpH(H2O)6.0~6.9の範囲にあり、弱~微酸性を示しました。しかし、約4割のものは、pH7.0以上でした。作物ごとに、適正pHが異なります。pHが中性付近になると硝酸化成が促進され、土壌中のアンモニア態窒素が硝酸態窒素に変化していきます。水稲・レンコン・レタスなどの好アンモニウム性作物など注意が必要です。pHが栽培作物の適正域から外れると、微量要素の溶解性や土壌微生物相が変化(微生物の消長)し、生育に大きく影響します。土壌がアルカリに傾くと、微生物では放線菌が多くなり(酸性に傾くと糸状菌が多くなる)、鉄・マンガン・ホウ素・亜鉛などの微量要素の欠乏症が発生しやすくなる等の状況になります。土壌病害の多発や、要素の過剰症・欠乏症に繋がるケースもあり、注意が必要だと考えられます。アルカリ土壌の改善策として、深耕、湛水、嫌気性ボカシ・泥炭(ピートモスなど腐植酸が多いもの)資材の利用などの方法がありますが、アルカリ化の原因等に応じて考えていく必要があります。
○リン酸
数値は、3~90と様々でしたが、サンプルのほとんどが目安となる20~60(mg/100g乾土)付近におさまっていました。一般的に80を超えると基準施肥量の半分程度、100を超えると無施肥が基準となりますので、注意が必要です。pHと同様に、作物ごとにリン酸の吸収特性(適正領域)があります。リン酸の施用が多いと生育が良くなる作物として、レタス、タマネギ、インゲン、キュウリ、サラダ菜、ホウレンソウなどがあります。一方、少量の施用でも良い作物として、コマツナ、サントウサイ、サトイモ、ダイコン、スイカ、タイサイ等があります。
その他、水稲では、有効態リン酸が10(mg/100g乾土)までは、リン酸施用によって収量が向上するものとされています。
○カルシウム、マグネシウム、カリウム
昨年までと大幅に異なり、全体的に、カルシウムが多い(測定サンプルの7割以上)傾向にありました。作物によるこれらの成分の吸収は、拮抗作用によって相互に抑制的に働きます。例えば、カルシウムが多いと、カリウムの吸収が抑制されます。望ましい塩基バランスの一例としては、CaO:MgO:K2O=278~315:60~75:14~371(当量比では、5:2:1)です。今回の測定サンプルで、およそこの比率におさまるものが、約2割しかありませんでした。今回、CEC値の測定はありませんでしたが、土壌の種類に応じて、CEC値に合わせた肥培管理も大切になってきます。例えば、2018年の測定値で最も多かったCEC10以下の土壌の場合では、塩基飽和度100~170%、石灰飽和度80~150%、苦土飽和度16%、カリ飽和度6%くらいが一つの目安とされています。
※石灰 meq(ミリグラム当量) =CaO/28
※苦土 meq =MgO/20
※カリ meq =K2O/47
※石灰飽和度(%)=石灰meq/CEC×100
※苦土飽和度(%)=苦土meq/CEC×100
※カリ飽和度(%)=カリmeq/CEC×100
○鉄
全体的に低い値でした。土壌中の無機物のうち約10%は鉄であるため、畑作では、土壌の含有率が少ないことで生育に影響を及ぼすことは少ないと考えられます。ただし、pH値や他の無機物との拮抗作用によって欠乏症が生じる(新葉のクロロシス)事があるので注意が必要です。稲作の場合は、畑作とは事情が異なるため、積極的な鉄資材の施用が必要です。
○マンガン
測定したサンプルの全てで不足していました。マンガンは、葉緑体の形成に関与しているとても大切な成分(体内の6割程度が存在)で、健全な生育には欠かせません。供給を考慮した栽培管理が必要です。溶解度は、pH5.5~6.0で高くなるため、pHの調整もその対策の一つになると考えられます。
(技術部 森昭暢)