気候変動と作物、対策は「3因の回避」と「土壌にC貯留」!

晴れ
最高24.5℃
最低12.4℃
  ※東広島観測所


今年の夏は、小売店での米不足から、お米に関するお問い合わせがたくさんありました。
僕は、日本全体では貯蓄量は十分であることと、今後の生産基盤が他の作物に比べるとしっかりしているので、本質的には不足していないので、今はそこまで不安にならなくても大丈夫であるお話をしてきました。
 ※しかし、西日本では、お米の品質や生産量は低下傾向。今後は不安定な状況は増し続けると考えています。
 ※JAさんや農水省さんには品質基準の改善を要望中。

現場で実感していることは、稲よりも、果樹や野菜がとても深刻な状況であることです。

現に、地元の青果のみで成り立つ直売所は、急激に減ってきています。

地球温暖化の進行による天候影響と、生産体制の変化(生産者の高齢化、人口減少、1経営当たりの作付け面積拡大)による影響が大きいと考えています。

先月は、武田中学・高等学校で「気候変動と作物」というテーマで授業をさせていただく機会があり、現状、今後、対策について、いろいろ整理しました。
スライドでは70枚超。

現状としては、
今年も酷暑で、夏野菜が大きく影響を受けていること、
病害虫が激発し作物が影響を受けていること、
種採りができなくなってきていること、
極端異常気象により、生産現場で影響を受け作業量が増えていること、
熱中症や白内障になる農家が増えてきていること、
その他、養鶏では産卵数の減少、卵サイズが小さくなること、
などを見て、触れて、食べて、聞いて、学んでいただきました。

今後は、
特に果樹で品質の低下が増え続けること、
果樹の産地が北上すること、
全ての作物で生産性が低下すること、
全ての作物で供給が不安定化すること、
生物種が今よりもさらに減少すること、
豪雨が増え続け、雨季と乾季をより実感できるようになること、
春期と秋期が短くなること、
など、統計情報や予測情報に基づき、お話しました。

対策としては、
大きくはこれらの変化に適応することと、変化を緩和(改善)すること。
生活者・消費者としては「自分の食べているものがどのように作られているかに 関心をもち、意識をして選ぶこと」、「緩やかな繋がりで連携すること、コモンズを実践すること」、
生産者としては、「環境再生型農業、すなわち循環型農業でエネルギー収支をプラスにすること、カーボンを土壌中に貯留することが最も効率良い地球温暖化対策となること」、
作物の安定生産に向けては、「3因を回避させること、土壌の機能を圃場全体で発揮させること」、
などお話しました。

気候変動での作物生産は、災害級の気象となればお手上げですが、
まだまだ考えられる対策はたくさんあるので、大丈夫!なはずです。

要は、作物体内の水循環、めぐりを良くすることです。
人の血液循環と同じです。

夏における高温・乾燥による影響は、
高温によって体温が上昇すること、
乾燥によって気孔が閉鎖して光合成や蒸散が停止(からの体温上昇)すること、
から障害が発生します。

冬期における寒害は、作物体内の水がどれくらい凍結するかで発生します。

これらの障害が発生しないようにすることが、農業現場での対策となり、
できることはたくさんあります!

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