広島県の畑土壌における理化学性の状況【可給態リン酸】!


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  ※東広島観測所

2021~2022年度にデータ駆動型土づくり推進事業で
広島県内の畑や水田の土壌診断をさせていただきました。
 ※有機農業を営む農地が中心。

これらの結果を整理しています。
広島県の土づくりの現状と課題が見えればと思います。

広島県の畑地土壌における理化学性の状況【可給態リン酸】
●可給態リン酸が過剰な土壌が6割を占めている
●可給態リン酸が適正域にある土壌は3割程度である

リン酸は、作物が必要とする養分のうち窒素に次いで作物の生育に影響します。
作物の体を構成する、DNAやRNAの成分として遺伝やタンパクの合成、原形質膜の形成に関与していたり、ATPやADPの構成成分でもありエネルギー代謝にも必要です。
リン酸は代謝が活発な組織で特に必要で、根の発達や開花などに影響を与えます。

リン酸の過剰障害は、一般に発生いにくいとされていますが、広島が主産地である分葱などで葉先が黄化褐変するなどの症状がみられています。
施設栽培のキュウリでも、白斑症状がみられています。

リン酸の過剰は、一般にカリウム、マグネシウムなどの交換性塩基類、
鉄や亜鉛などの微量要素の作物体への吸収を抑制する傾向があります。

その結果、作物栄養価が低下することにつながるので、要注意です。

例えば、土壌中に亜鉛が十分に存在していても、リン酸が過剰な状態では
作物は亜鉛欠乏になることもあります(作物によるかもしれませんが)。

リン酸が過剰な土壌での対策は、適正施肥などです。
リン酸を減肥しても収量が低下しないレベルを把握する必要があります。

土性にもよりますが、以下が大まかな施肥量の目安になります。
・~10 mg ⇒基準の120%施肥
・10~20mg ⇒100%
・20~60mg ⇒100%
・60~80mg ⇒80%
・80~100mg ⇒50%
・100mg~ ⇒無施肥

過剰となったリン酸を減少させることは難しいために、
定期的に土壌状況を把握し、適正施肥が肝心です。


土壌の可給態リン酸が適正域にある広島県内の畑は3割程度の状況です。

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