広島県の水田土壌における理化学性の状況【可給態リン酸】!


最高9.5℃
最低5.6℃
  ※東広島観測所

2021~2022年度にデータ駆動型土づくり推進事業で
広島県内の畑や水田の土壌診断をさせていただきました。
 ※有機農業を営む農地が中心。

これらの結果を整理しています。
広島県の土づくりの現状と課題が見えればと思います。

広島県の水田土壌における理化学性の状況【可給態リン酸】
●可給態リン酸が不足する土壌は4割程度である
●可給態リン酸が適正域にある土壌は4割程度である

リン酸は、作物が必要とする養分のうち窒素に次いで作物の生育に影響します。
作物の体を構成する、DNAやRNAの成分として遺伝やタンパクの合成、原形質膜の形成に関与していたり、ATPやADPの構成成分でもありエネルギー代謝にも必要です。
リン酸は代謝が活発な組織で特に必要で、根の発達や開花などに影響を与えます。

リン酸の過剰障害は、一般に発生いにくいとされていますが、稲の稚苗などで症状が確認されています。
旧葉の葉先が褐変し、強い日差しの元ではその程度が激しくなり、白化する場合もあります。

リン酸の過剰は、一般にカリウム、マグネシウムなどの交換性塩基類、
鉄や亜鉛などの微量要素の作物体への吸収を抑制する傾向があります。

その結果、作物栄養価が低下することにつながるので、要注意です。

一方で、リン酸が欠乏する場合には、発根や分げつなどの生長を抑制し、
収量・品質に影響します。
※イネのリン酸吸収は、生育が進むにつれて増大し、開花期までに殆ど終了する。


土性や気温・地温にもよりますが、大まかな施肥量の目安は以下になります。

農研機構さんのリン酸施肥推奨量
・~10 mg未満 ⇒標準施肥量
・10~15mg ⇒標準施肥量~標準施肥量の半量
・15mg~ ⇒標準施肥量の半量

青森県の指針例(寒地)
・~10 mg未満 ⇒標準施肥量
・10~20mg未満 ⇒標準施肥量の半量
・20mg~ ⇒無施肥

岡山県の指針例(暖地)
・~10 mg未満 ⇒標準施肥量(8~11)
・10~20mg未満 ⇒標準施肥量の半量(5)
・20mg~ ⇒無施肥(0)

過剰となったリン酸を減少させることは難しいために、
定期的に土壌状況を把握し、適正施肥が肝心です。


土壌の可給態リン酸が適正域にある広島県内の水田は4割程度の状況です。

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